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ボロいアパート、ボロいホテル
以前古本屋で買った なだいなだ の本を久々に読み返してみました。精神科のお医者さんが書いたユーモアたっぷりの本です。
彼が若い頃に泊まったパリの安宿で、部屋の床が傾いていたというくだりを読んで思い出した事があります。
私の父はフランス文学を研究していて、私が中学1年の時に1年程、パリに滞在していました。パリには父の同僚が先に滞在しており、私達一家を夕食に招いて下さいました。とってもお洒落なマンションの一室で、シャンデリアが合うリビングと、綺麗なキッチン、広いベットルームがあり、私は、あーパパもこんな所に住むのね~とウキウキしていたのです。そんなある日、父が滞在するアパートが決まったので3人で見に行ったのですが、それを見た私はショック。。。。繁華街の狭い通りに門を構えるアパートの父の部屋は、4畳半位のダイニングキッチンに、4畳半位のベットルーム。一人が風呂に入ったらすぐお湯が出なくなるバスルーム。これだけ。天井は斜めに勾配がついていて。。。。そう、屋根裏部屋だったのです!。エレベータも、一つ下の階までしか来ていません。典型的なパリの安アパートです。なのに、父と母は嬉々としていました。思わず母に、
「ねーパパが可愛そうだよー○○さん(父の同僚)の部屋とは全然違うじゃん。ボロいよーこんな所」
と言ったら母が笑って、
「だって、○○さんは独身でしょ、パパには私達もいるのだし、同じようにお金は使えないでしょ。」
と言った後、父に、
「あなた、とこもが、パパ可愛そうって言ってるわよ~」
と笑っています。でも、ボロくても立地は一等地らしく、まあ、花より実を重んじる気質なんでしょうね。
そのアパートには、ちょっと大きめのベットが一つしかありませんでした。なので、母と私がベットに寝て、父は近くのホテルに泊まることになったのです。じゃ、ホテル探してくる、と言う父にくっついて行ったのですが、父は通りを何本か過ぎた路地にある、薄暗いひび割れた建物に入っていきます。え、まさかこんな所に泊まるのでは。という私の心配はよそに、父はさっさと部屋を見に行きました。その部屋がまさに、「なだいなだ」のエッセイに出てくる様な部屋だったのです!陽が当たらない真っ暗な部屋に裸電球がぶら下がっていて、床はパッと見てはっきり解かる位、斜めに傾いていました。ベットの横には、むき出しで流しが壁にくっついています。こんなにもネズミが似合う部屋はないだろう、ま・さ・か・こんな所に泊まらないだろうと思っている私の横で父はベットを点検して、「うん、ベットは清潔だ」とぶつぶつ言いながら、さっさと受付で料金を前払いしています。立地さえよければ、寝れればばどこでもいい、と思っていたのですね。でも私は当時12歳。乙女の心には非常にショックでした。 つづく。。。
by tomokorissen | 2009-12-19 21:00
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